ESで研究内容を聞かれると、テーマだけを書けばよいのか、背景や方法、結果まで説明するべきか迷います。まだ研究の途中で、書けるような成果がない人もいるでしょう。
研究が終わっていなくても、研究内容は書けます。テーマに加えて、なぜその研究に取り組んでいるのか、どのような方法で進めているのか、現在どこまで進んでいるのかを順番に整理すれば、研究の全体像を伝えられます。
ただし、入れる内容は設問と文字数によって変わります。100字ならテーマや目的を中心に、400字なら方法や進捗、工夫したことまで含めるなど、書ける範囲に合わせて調整しましょう。
この記事では、ESに研究内容を書く手順と、文字数に合わせたまとめ方を解説します。研究が途中の場合の書き方や、研究分野の異なる例文5選も紹介します。
ESの研究内容欄には何を書く?
研究テーマ、背景・目的、方法、現在地の4つを、設問と指定文字数に合わせて並べます。結果が出ている場合は、確認できたことを必要な範囲で加えます。

一文目で、何を対象に何を調べているかが分かる表現にしておくと迷いません。
なぜそのテーマを調べる必要があるのかを書く部分です。きっかけだけでなく、まだ分かっていないことを短く添えると、目的へつながります。
研究で何を明らかにしたいのかを書く部分です。
文献調査、アンケート、観察、実験、データ分析、比較検証などを書きます。方法名だけでは伝わりにくいため、誰や何を対象にどう行っているかを添えるのがおすすめです。
結果が出ている場合は、現時点で確認できたことを書きます。出ていない場合は、先行研究の整理、調査票の作成、予備実験、データ収集などの進捗に置き換えると、無理なく書けます。
同じ文章を全部の欄へ貼ると、設問とずれます。手元にある研究の説明文は、そのまま使い回さないほうが安全です。
| 設問の言い方 | 主に答える内容 | 必要に応じて加えること |
|---|---|---|
| 研究内容を記入してください | テーマ、目的、方法、現在地 | 背景、現時点の結果 |
| 研究概要を記入してください | 研究全体の要約 | 背景、目的、方法、結果 |
| 学業・ゼミ・研究室などで取り組んだ内容 | 研究、ゼミ、授業、演習、共同課題 | 自分の担当、取り組んだ方法 |
| 研究で工夫したこと | 研究中の課題、考えたこと、変えた方法 | 結果、今後変えたいこと |
| 研究を仕事へどう活かすか | 研究で使った知識や方法と、応募職種との接点 | 入社後に取り組みたいこと |
ESの研究内容を書く5ステップ
どこから手を付けるか迷ったら、この順番で進めるのがおすすめです。

設問と指定文字数を確認する
書き始める前に、設問文を読み直します。ここを飛ばすと、書き上げてから丸ごと直すことになります。
- 研究内容だけを聞かれているか
- 研究概要を聞かれているか
- 学業やゼミも含まれているか
- 研究で工夫したことまで聞かれているか
- 仕事への活用も聞かれているか
- 上限文字数
- 必須か任意か
- 研究概要書の提出が別にあるか
研究テーマを一文にする
「私は、〇〇を対象に、△△を明らかにする研究に取り組んでいます」という型が使えます。分野によって書きやすい形は違うため、この文型に合わせる必要はありません。
正式な研究題目ではなく、対象と調べている内容が分かる言葉にするのがおすすめです。
背景と目的を分ける
背景は、なぜそのテーマを扱う必要があるか。目的は、何を明らかにしたいかです。両方で同じ説明を繰り返さないほうが、字数にも余裕が出ます。
方法と現在地を書く
方法は、誰や何を対象にどのような調査、実験、分析を行っているかです。現在地は、研究のどこまで進んでいるか。結果が出ていない場合は、結果の代わりに現在地を入れます。
設問で聞かれていない内容を削る
最後に、次の点を見直しておきます。
- 自己PRへ変わっていないか
- 志望動機へ変わっていないか
- 聞かれていない仕事への活用を加えていないか
- テーマを選んだ理由が長すぎないか
- 研究テーマの説明が後回しになっていないか
- 架空の結果や数値を加えていないか
専門外の人に伝わる書き換え方
読み手は、同じ分野の人とは限りません。
専門用語をすべて置き換える必要はありません。正確さのために必要な用語は残し、直後へ短い説明を足すのが現実的です。
用語そのものは残したまま、直後へ短い言い換えを足します。
初出で「SEM(走査型電子顕微鏡)」のように正式名称を添えておくと親切です。略語なしで説明できる場合は、略語を増やさないほうが読みやすくなります。
何を対象にしているか、どのような方法を使っているか、何を明らかにしたいか。この3つは文を分けておくと読みやすくなります。詰め込むと、どこからが方法か分かりにくくなります。
書き終えたら、研究内容を知らない人に読んでもらうのがおすすめです。別の学部の友人、分野が異なる学生、キャリアセンターなどが相手になります。
ESの研究内容の例文5選
見出しを押すと例文が開きます。どれも設問と上限文字数を先に決めてから組み立てた形です。
例文1|文系ゼミ(商店街を訪れた人の回遊行動)
- 書いた要素
- テーマ、背景、目的、方法、現在地(仕事への活用は設問にないため不掲載)
- 差し替える箇所
- 商店街、回収件数
例文2|理系学部(土壌水分センサーの測定誤差)
- 書いた要素
- テーマ、目的、方法、現在地(結果ではなく現在地で止めた形)
- 差し替える箇所
- 測定の対象と条件の段階数
例文3|理系大学院(画像を用いた製品表面の異常検出)
- 書いた要素
- 継続した理由、方法、確認できたこと、次に検証する内容(確認済みと未確認を分けた形)
- 差し替える箇所
- 手法の数と確認できた範囲
例文4|研究テーマ未定(ゼミ・研究室へ所属済み)
- 書いた要素
- 所属先の分野、関心のある対象、読んでいる資料、決定までに進めること
- 差し替える箇所
- 分野とテーマ候補
例文5|研究途中で成果なし(テーマと方法は決定済み)
- 書いた要素
- テーマ、背景・目的、現在の作業、現在地(仮説は結果にしない形)
- 差し替える箇所
- データの種類と進み具合
結果が出ていないときに書くこと
研究内容欄は、結果が出る前に書くことになりがちです。
政府の要請では、広報活動の開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始は6月1日以降とされています。学部4年や修士2年にとっては、卒業研究や修士研究が途中の時期にあたります。

学生転職で選考フローを公開している求人155件のうち、エントリーシートや書類の提出が工程に入っている求人は59件でした。
そのうち51件では、提出が選考の1番目か2番目に置かれています。平均すると1.7番目です。
※ 学生転職の公開求人のうち、学生に公開されている選考フローを2026年10月に集計したものです。1つの求人に複数の工程が含まれます。
書ける内容は、研究の進み具合と設問の言い方で変わります。
| 状態 | 書く内容 | 注意すること |
|---|---|---|
| ゼミ・研究室へ未所属 | 設問が「学業・ゼミ・研究室などで取り組んだ内容」なら、授業、演習、レポート、共同課題 | 「卒業研究」「現在の研究テーマ」に限定されている場合は、未所属または未着手と事実どおり書きます |
| 所属済みだがテーマ未定 | 所属先の分野、関心のあるテーマ候補、決定へ向けて行っていること | 候補のテーマを、決定済みのようには書きません |
| テーマ決定済み・研究未着手 | 研究テーマ、背景、目的、今後予定している方法 | 実施前の方法を、実施済みのようには書きません |
| 研究途中・結果なし | 調査や実験の進捗、収集中のデータ、検討中の分析方法、次の作業 | 仮説を、確認済みの結果としては書きません |
| 結果はあるが論文未完成 | 現時点で確認できた結果 | 途中の結果を、最終結論のようには断定しません |
文字数が足りないときに削る順番
以下は「商店街を訪れた人の回遊行動」という架空のテーマを、3つの字数で書いた例です。
最後まで残すのは、テーマと目的です。
字数が足りないときに最初に外れるのは背景、次がきっかけと担当範囲です。テーマと目的を削ると、何の研究か分からない文章になります。
| 要素 | 100字以内 | 200字以内 | 400字以内 |
|---|---|---|---|
| 研究テーマ | 書く | 書く | 書く |
| 背景 | 省く | 書く | 書く |
| 目的 | 書く | 書く | 書く |
| 方法 | どちらかを書く | 書く | 書く |
| 現在地 | どちらかを書く | 書く | 書く |
| きっかけ・担当・今後の検証 | 省く | 省く | 余裕があれば書く |
100字以内の例文(実際の文字数:82字)
- 書いた要素
- テーマ、目的、現在地(背景ときっかけは省略)
- 差し替える箇所
- 対象と現在の作業
200字以内の例文(実際の文字数:153字)
- 書いた要素
- 100字の内容に背景と方法を追加
- 差し替える箇所
- 背景(ご自身の分野で分かっていないこと)
400字以内の例文(実際の文字数:286字)
- 書いた要素
- 200字の内容にきっかけ、担当、今後の検証を追加(仕事への活用は不掲載)
- 差し替える箇所
- 担当範囲と今後
上限まで無理に埋める必要はありません。大幅に下回るときだけ、テーマ、目的、方法、現在地に抜けがないかを見ておきます。
研究経験を別の設問へ使うとき
同じ研究経験を複数の設問へ使うこと自体に問題はありません。答えるべき内容が違うため、同じ文章を全欄へ貼ると設問に答えていない状態になります。
| 設問 | 主に答えること | 研究経験を使う場合 |
|---|---|---|
| 研究内容 | 何を、なぜ、どのような方法で研究しているか | テーマ、目的、方法、現在地を説明する |
| ガクチカ | 直面した課題と、自分が取った行動 | 研究中の問題へどう対応したかを説明する |
| 自己PR | 自分の強みと、その根拠 | 研究で取った行動を、強みの根拠にする |
| 志望動機 | なぜ応募企業や職種を選んだか | 研究で持った関心と、応募先との接点を必要な範囲で説明する |
研究内容と応募先の仕事が離れていると、関係があるように書かなければと考えがちです。実際には、応募条件で専攻を指定している求人は多くありません。
学生転職に公開されている求人385件のうち、応募要件か求める人物像の記載がある359件を2026年10月に調べたところ、理系や特定の専攻に触れている求人は9件でした。
一方で、学部・学科・文理を問わないと明記している求人は46件あります。
※ 学生転職の公開求人を2026年10月に集計したものです。求人票に書かれている語を数えたもので、選考での評価を示すものではありません。応募条件に専攻の指定がある場合は、その記載が優先されます。
提出前に確認すること
提出前の見直しは、8項目で足ります。
- 実際の設問へ答えているか
- 一文目で研究テーマが分かるか
- 背景と目的が重複していないか
- 研究方法が具体的か
- 現在地と結果を混同していないか
- 専門用語へ説明があるか
- 存在しない成果や数値を書いていないか
- 指定文字数を超えていないか
次の内容は本文へ入れず、別のメモへ残しておくのがおすすめです。ESに入りきらなかった部分が、そのまま面接の答えになります。
- そのテーマを選んだ理由
- 方法を選んだ理由
- 自分が担当した部分
- 研究で困っていること
- 予想と違う結果が出たときに考えていること
- 今後の研究予定
質問される数や内容は、企業、職種、面接官によって異なります。ESへ書いた内容は、根拠を確認できる状態が前提です。口頭で説明する練習は面接練習の進め方で扱っています。
未公開の研究データや共同研究先の情報を含む場合は、書いてよい範囲を指導教員や共同研究者へ確認しておくと安心です。
- 未公開データ
- 契約で公開できない共同研究先の情報
- 個人を特定できる調査情報
- 研究室内だけで使う資料
- 公表前の研究成果
ESの研究内容に関するよくある質問
ESの研究内容には何を書きますか
研究テーマが決まっていない場合はどう書きますか
研究成果がなくても書けますか
ゼミや研究室へ所属していない場合は何を書きますか
専門用語は使わないほうがよいですか
研究内容と応募先の仕事が関係なくてもよいですか
研究内容欄に強みや学びも書きますか
ESに書いた研究内容は面接でも聞かれますか
まとめ
ESの研究内容欄で迷ったら、次の3つの順に手を動かすと形になります。
設問文と指定文字数を先に読む
「研究内容」と「研究概要」、「学業・ゼミ」では答える範囲が違います。100字なら背景を落とし、400字ならきっかけと担当範囲まで入ります。
テーマ、背景・目的、方法、現在地の順に並べる
結果が出ていない場合は、結果の代わりに現在地を書きます。存在しない成果や数値を足す必要はありません。
専門外の人に一文目で伝わるか確かめる
現在地と結果が混ざっていないかもあわせて見ます。入りきらなかった内容は、面接用のメモとして残しておきます。
出典
※ 出典の確認日:2026年10月29日。記事中の求人件数は、学生転職の公開求人を2026年10月に集計したものです。最新の日程は内閣官房の公表資料で確認できます。



