就職活動で、面接のいちばん最初に置かれるのが自己紹介です。
新卒の就職活動では、書類選考を通過したあと、複数回の面接を経て内定に進むのが一般的な流れです。28卒は選考が早く、はじめての面接は3年生のうちにやってきます。つまり自己紹介は、選考のなかでいちばん最初に通る場面ということになります。
ただ、話す内容そのものは決まっていて、覚えることは多くありません。大学・学部・学年と氏名、いま取り組んでいること1つ、締めのあいさつの3つです。長さは30秒〜1分、文字数なら約300字が目安で、自己PRのように強みを裏付ける経験や成果まで話す必要はありません。
もう1つ押さえておきたいのが、自己紹介で出した経験が、そのあとの深掘り質問の土俵になることです。つまり自己紹介は売り込む場ではなく、このあと何について話すかを自分で決められる場だといえます。
そこで今回は、面接の自己紹介で伝える項目と長さ、長さ別・題材別の例文10選、実績がないときの題材の選び方、そして自己紹介で言わなくていい項目までご紹介します。
面接の自己紹介で伝える項目と長さ
「自己紹介をお願いします」で固まる原因は、多くの場合、話す内容ではなく長さが分からないことです。企業が「1分でお願いします」と指定してくれれば迷いませんが、指定のないまま振られる方が多いので、先に自分の中で長さを決めておきます。
| 言われ方 | 話す長さ | 文字数の目安 | 書く原稿の長さ |
|---|---|---|---|
| 指定なし | 30秒〜1分 | 150〜300字 | 270字 |
| 「1分で」 | 1分 | 約300字 | 270字 |
| 「2分で」 | 2分 | 約600字 | 540字 |
| 「簡単に」 | 30秒 | 約150字 | 130字 |
原稿を目安より1割ほど短く作るのは、本番で話す速さが落ちるからです。緊張すると早口になると思われがちですが、言葉を探す間と言い直しが入るため、実際には原稿どおりの速さでは終わりません。
書いた原稿は、必ずスマホのストップウォッチで測ってください。測るのは目で追った時間ではなく、相手に聞かせる速さで読み上げた時間です。黙読はふだん音読よりずっと速いので、目で追って「ちょうどいい」と感じた原稿は、声に出すとたいてい長すぎます。
自己紹介で話す3つ
- 1大学・学部・学年と氏名「〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します」と伝えます。大学院生は「〇〇大学大学院〇〇研究科、修士1年の〇〇と申します」に置き換えます。
- 2いま取り組んでいること(1つだけ)ゼミ、研究室、部活、アルバイト、長期インターン、学生団体、留学、授業から1つ選びます。何に取り組んでいるか、そのなかで何を担当しているかが分かる一文にします。
- 3締めのあいさつ「本日はよろしくお願いいたします」で終えます。冒頭に「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」を足しても構いません。
「自己PRも含めて」「志望理由も含めて」と指定された場合だけ、求められた内容を短く足します。指定がなければ、この3つで終えて問題ありません。
指定がなければ30秒〜1分。所属・いまの取り組み・あいさつの3つを270字で書いて、声に出して測る。ここまでで準備は終わります。
自己紹介で話す経験の選び方
自己紹介で「ゼミで食品ロスを研究しています」と言えば、次の質問はほぼ確実にゼミの話から始まります。「カフェでアルバイトをしています」と言えば、アルバイトの話から始まります。自己紹介は、面接のはじめの十数分で何を話すかを自分で指定する場面です。
だから選ぶのは、手持ちのなかでいちばん華やかな経験ではなく、いちばん詳しく話せる経験です。2つ3つ並べると、面接官はどれを掘るか決められず、自分がいちばん答えにくい方を選ばれることもあります。
選ぶときに自分へ投げる3つの質問
その活動について、あと10分話せるか
自分が何を担当しているか、一言で言えるか
うまくいかなかったことも話せるか
3つとも「はい」になる経験が、自己紹介で出す経験です。3つ目が効きます。深掘りは「難しかったことは」「どう対応したか」まで来るので、失敗を話せない題材は途中で止まります。
華やかな経験ではなく、10分話せる経験を選ぶ。自己紹介は、面接の話題を自分の得意な場所に寄せるための場面です。
自己紹介で出す経験が決まらないとき
どんな場面で力が出るタイプかが分かっていると、話す経験を選びやすくなります。学生転職の「働き方ヒーロー診断」は32問・5分で、思考スタイル・エネルギー源・志向性・価値基準の4つの軸から、16タイプのどれに当てはまるかを出します。診断結果をそのまま話すのではなく、どの経験を選ぶかを決めるために使ってください。
実績がない場合の自己紹介の作り方
「自己紹介で話せる実績がない」という詰まり方をしている場合、原因は経験不足ではなく時期です。2026年卒では、3月より前の早期選考に参加した経験がある学生が56.7%にのぼります。10年間での変化を見ると、もっとはっきりします。
| 項目 | 2017年卒 | 2026年卒 |
|---|---|---|
| 卒業年次前年3月1日時点の内定率 | 約5% | 約50% |
| 内々定・内定を卒業年次前年2月までに出し始める企業 | 1.2% | 41.4% |
出典:リクルート就職みらい研究所『就職白書2026』(2026年2月20日公開)。学生調査は2026年卒の大学4年生・大学院2年生1,326人(2025年11月20日〜12月8日)、企業調査は1,196社(2025年12月1日〜2026年1月7日)。
この数字は、国が示している日程とずれています。政府の「就職・採用活動日程に関する考え方」では、企業が募集を広報し始めるのは卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、選考を始めるのは卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定は10月1日以降とされています。
出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議(内閣官房)「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」2025年12月26日。
広報が解禁される3月を迎える前に、すでに選考を受けている学生が半数を超えているということです。ルールが想定している順番より前に、はじめての面接が来ています。面接の時点で実績が揃っていないのは、準備不足ではありません。
この数字が意味することはひとつです。はじめての面接は、ガクチカが完成する前にやってくる。28卒も同じで、3年生のうちに面接を受けるなら、そのとき語れる実績がないのは当たり前です。
「サークルでリーダーを務め、参加者を2倍にしました」のような例文が並ぶのは、実績が揃ったあとの人を想定して書かれているからです。
実績の代わりに話せること
受けている授業と、そのために続けている学習
アルバイトで任されている作業
ゼミ・研究室で担当している範囲(結果が出ていなくて構いません)
自分で調べていること、読み続けている本や記事
どれも、いまも続いていれば期間が短くても成立します。例文にするとこうなります。
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 大学では統計の授業を受けており、データを自分で集計できるよう、表計算ソフトの練習を続けています。 いまは授業の課題で使うグラフを、自分で作るところまでやっています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
役職も受賞歴も出てきませんが、深掘りに答えられる題材です。面接官が知りたいのは成果の大きさではなく、何に時間を使い、そこで何を考えているかだからです。
自己紹介は成果の報告ではありません。「いま続けていること」が1つあれば成立します。
【長さ別・題材別】面接の自己紹介の例文10選
最初の3本は長さ別、残りの7本は題材別です。例文1〜3に出てくるゼミやアルバイトは長さの違いを見せるためのものなので、題材は例文4〜10から選び、長さは例文1〜3に合わせてください。28卒で3年生のうちに面接を受けるなら、完成した経験ではなく、いま続いているものから選んで構いません。
| 話す題材 | 選ぶ目安 | 例文 |
|---|---|---|
| ゼミ・研究室 | 週1回以上通っていて、自分の担当がある | 例文4・例文5 |
| 部活・サークル | 続けていて、役割を1つ言える | 例文6・例文9 |
| アルバイト | 続けていて、任されている作業がある | 例文7 |
| 長期インターン | 業務内容を自分の言葉で説明できる | 例文8 |
| 留学 | 帰国後も続けていることがある | 例文10 |
| 授業・日々の学習 | 上のどれも薄いと感じるとき | 「実績がない場合の自己紹介の作り方」の章 |
どれも薄いと感じた場合は、無理にゼミや部活を選ばず、前の章の授業・学習の型を使ってください。題材の格より、深掘りに答えられるかどうかが先です。
例文1|【30秒】基本の自己紹介
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 ゼミでは、地域の商店街で人の流れを調べています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
時間を指定されなかったとき、集団面接のとき、「簡単に」と言われたときはこの長さで足ります。活動名を出すところで止めているので、面接官が次に何を聞けばいいかが分かります。
例文2|【1分】いま取り組んでいることを足す
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。 〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 ゼミでは、地域の商店街で人の流れを調べています。 担当しているのは、平日と休日の通行量を数えて記録する部分です。 数えた結果を店主の方に見せると、感覚と違っていることがあり、そこから次に調べることを決めています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
例文1に「担当していること」と「そこで気づいたこと」の2文を足した形です。成果ではなく、自分が手を動かしている範囲を出しているのが要点です。
例文3|【1分】「自己PRも含めて」と指定されたとき
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。 〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 飲食店のアルバイトで、発注を担当しています。 私の強みは、記録をもとに改善を続けられることです。 曜日ごとの注文数を記録し、店長と相談しながら発注量を見直してきました。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
強みを足すのは、指定されたときだけです。強みは1文、裏付けも1文で止めます。結果の数字や苦労した話まで入れると1分を超え、自己PRの質問で話すことがなくなります。
例文4|ゼミ(文系)
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 環境政策のゼミで、食品ロスの削減について研究しています。 いまは、自治体と企業が公開している資料を読み、取り組みの違いを比べています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
例文5|研究室(理系)
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 応用化学の研究室で、電池材料の性質を調べています。 いまは実験データの記録と、測定装置の準備を担当しています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
研究内容を分かりやすく言い換える必要はありません。専門外の面接官には「何を調べているか」と「自分が何をしているか」が伝われば十分で、詳細は聞かれてから説明します。
例文6|部活・体育会
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 バドミントン部に所属し、週4回の練習を続けています。 いまは新入部員の練習相手と、備品の管理を担当しています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
主将でなくても成立します。役職ではなく、担当していることを言えばいいので、「練習メニューの記録をつけている」「連絡を回している」でも題材になります。
例文7|アルバイト
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 2年生からカフェでアルバイトをしており、朝のシフトでホールを担当しています。 いまは新しく入ったスタッフへ仕事を説明する役割も任されています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
例文8|長期インターン
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 Web制作会社の長期インターンで、記事の制作を担当しています。 いまは構成と執筆に加えて、取材メモの整理も行っています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
会社名を出すかどうかは任意です。守秘義務がある業務を担当している場合は、業種と担当範囲だけにとどめます。
例文9|サークル・学生団体
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 音楽サークルで広報を担当し、SNSの更新と新入生向けの案内を作っています。 いまは他のメンバーと相談しながら、新歓期間の投稿内容を決めています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
例文10|留学
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 3年生の前期に半年間カナダへ留学し、都市計画を学びました。 帰国後も、ゼミで扱うテーマに関する英語の記事を読み続けています。 本日はよろしくお願いいたします。
置き換える箇所と、深掘りされたら話せること
留学は、終わった経験として話すと「それで終わり」になります。帰国後に続いていることを1文足すと、いまの話になり、深掘りも続きます。
10本のうち、深掘りの欄に自分の言葉で答えられるものが1つあれば十分です。足りないと感じたら、例文を増やすのではなく題材を変えてください。
例文を自分の内容に書き換える手順
例文を上から順に埋めると、活動名だけが自分のもので、中身は例文のままという状態になりがちです。次の順番で作ってください。はじめての面接なら、ここで作った2つをそのまま全社で使い回せます。
- 1いま取り組んでいることを1つ選ぶゼミ、部活、アルバイト、長期インターン、授業などから選びます。基準は「詳しく聞かれても答えられるか」だけです。華やかさで選びません。
- 2自分の役割を一言で書く「アンケートの集計を担当している」「練習メニューの記録をつけている」のように書きます。役職がなくても書けます。ここがいちばん効く一文です。
- 3自己紹介で話す範囲を決める何に取り組んでいるか、何を担当しているかまでにします。課題、工夫、成果は、質問されてから話します。
- 4声に出して長さを調整する270字を目安に書き、スマホのストップウォッチで測ります。言いづらい言葉や長い一文があれば、そこで短く切ります。
次のテンプレートは、空欄を自分の内容で埋めるだけで使えます。
自己紹介のテンプレート(約130字・30秒)
〇〇大学〇〇学部〇年の〇〇と申します。 現在は〇〇に取り組み、〇〇を担当しています。 本日はよろしくお願いいたします。
1分版(約270字)
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。 〇〇大学〇〇学部〇年の〇〇と申します。 現在は〇〇に取り組み、〇〇を担当しています。 〇〇を進めるなかで、〇〇ということが分かってきました。 本日はよろしくお願いいたします。
4行目は、成果ではなく「分かってきたこと」を書くのがコツです。結果が出ていなくても書けますし、面接官が次に質問しやすい一文になります。
30秒版と1分版の2つを作っておけば、どの面接でも使い回せます。企業ごとに作り直す必要はありません。
自己紹介と自己PRの違い
自己紹介が長くなる原因のほとんどは、自己PRの内容が混ざることです。2つは、伝える目的が違います。
| 項目 | 自己紹介 | 自己PR |
|---|---|---|
| 主に伝えること | 自分が誰で、いま何に取り組んでいるか | 仕事で活かせる強み |
| 話す内容 | 大学、学部、学年、氏名、いまの活動、あいさつ | 強み、強みが出た経験、自分の行動、仕事での活かし方 |
| 話す詳しさ | 活動名と自分の役割まで | 具体的な経験を使って説明する |
| 聞かれる場面 | 面接の冒頭 | 「自己PRをお願いします」と聞かれたとき |
実務でいちばん効くのは「話す詳しさ」の行です。自己紹介ではゼミやアルバイトの名前を出すところまで。課題・工夫・成果は、その活動について質問されてから話します。先に全部話してしまうと、深掘り質問で話すことがなくなります。
自己紹介だけを求められた場面では、志望動機も全文は話しません。「志望理由も含めて自己紹介してください」と指定されたときだけ、1文を足します。
言われ方ごとの足し引き
実際の面接では、次のような聞かれ方をします。足すものだけ変えて、土台は同じ原稿で回せます。
| 言われ方 | 足すもの |
|---|---|
| 「自己紹介をお願いします」 | 足さない。所属・いまの取り組み・あいさつの3つで終える |
| 「簡単に自己紹介を」 | 足さない。30秒版を使う |
| 「自己PRも含めて自己紹介を」 | 強みを1文、裏付けを1文だけ |
| 「自己紹介を兼ねて志望理由も」 | 志望理由を1文だけ |
自己紹介で盛らなくていい理由
それでも成果まで話したくなるのは、最初に良い印象を作らないと不利になる気がするからです。ただ、厚生労働省は公正な採用選考の基本的な考え方として、「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性と能力に基づいた基準により行うこと」の2つを挙げています。
出典:厚生労働省 滋賀労働局「公正な採用選考をお願いします」
見られるのは適性と能力で、それは自己紹介の30秒ではなく、そのあとの深掘り質問で確かめられます。冒頭で急いで実績を並べる必要はありません。
自己紹介では経験の「名前」まで、自己PRでは経験の「中身」まで。この線を引いておけば、どちらを聞かれても同じ素材で答えられます。
面接の自己紹介でやりがちな失敗と言わなくていい項目
はじめての面接で起きやすいものから順に並べました。どれも、知っていれば本番で避けられるものです。
自己PRを最初から全部話す
強み、行動、成果まで説明すると、自己紹介としては長くなります。いま取り組んでいることまで伝えて、詳しい内容は聞かれてから話します。
経験を何個も並べる
複数の経験を並べると、どれを中心に伝えたいのか分からなくなります。時間が短いときは1つに絞ります。
よくある言い方
〇〇大学の〇〇です。 大学ではアルバイトとサークルに力を入れています。 アルバイトでは新人教育を担当し、サークルでは会計をやっています。 私の強みは行動力です。 本日はよろしくお願いいたします。
書き直した言い方
〇〇大学〇〇学部3年の〇〇と申します。 カフェのアルバイトで、新しく入ったスタッフへ仕事を説明する役割を任されています。 本日はよろしくお願いいたします。
題材を1つに絞り、強みと他の活動は質問されてから話す形にしました。「行動力です」のような強みの宣言も外しています。宣言は根拠を求められるので、自己紹介では分が悪いからです。
キャッチコピーを無理に入れる
抽象的なたとえよりも、いま取り組んでいる活動を具体的に話します。「私はスポンジのような人間です」と言うより、「大学ではプログラミングを学び、授業以外でもWebサイトの制作を続けています」のほうが、何をしている学生かが伝わります。
原稿を一字一句覚える
覚えるのは、所属・いまの取り組み・担当していること・締めという順番だけです。言い回しが少し変わっても、伝える内容が同じなら問題ありません。
丸暗記が危ないのは、1語飛んだときに全部が止まるからです。順番だけを覚えておけば、途中で言葉が出てこなくても言い換えて進められます。
出身地・家族・尊敬する人物は、言わなくていい
厚生労働省は、採用選考で把握すべきでない事項として14項目を挙げています。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地/住宅状況/家族/生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項 | 宗教/人生観・生活信条/思想/購読新聞・雑誌・愛読書/支持政党/尊敬する人物/労働組合・学生運動などの社会運動 |
| 採用選考の方法 | 身元調査/合理的・客観的に必要性が認められない健康診断/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類 |
出典:厚生労働省「公正な採用選考について(求職者の皆様へ)」公正採用選考特設サイト。同サイトでは、これらに限られるわけではないとも示されています。
これは企業が尋ねたり調べたりすべきでない項目です。学生が自分から話してはいけない、という意味ではありません。ただ、企業側が把握すべきでないとされている情報を、限られた自己紹介の時間を使って自分から渡す必要はありません。
「出身は〇〇県で、4人家族の長男です」に10秒使うより、いま取り組んでいることに10秒使ったほうが、そのあとの会話につながります。雑談として聞かれたら答えて構いませんが、自分から用意しておく必要はない情報です。
「尊敬する人物」が14項目に入っているのも押さえておくと安心です。自己紹介に座右の銘や尊敬する人を入れるようすすめる記事もありますが、入れなくてまったく問題ありません。
出身地・家族構成・尊敬する人物は、自己紹介に入れなくて構いません。空いた時間を、いま取り組んでいることに使ってください。
オンライン面接・集団面接での自己紹介
形式ごとに原稿を作り直す必要はありません。使い分けだけ決めておきます。
| 形式 | 使う長さ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 個人面接(指定なし) | 1分版 | 指定がなくても1分を超えない。超えた分だけ、あとの質問の時間が減る |
| 集団面接 | 30秒版 | 他の学生が長く話していても合わせない。指定があればその時間に従う |
| オンライン面接 | 同じ原稿でよい | 原稿を画面に出すと目線が落ちる。要点だけ紙に書いて手元に置く |
集団面接で他の学生が2分近く話すと、自分も長くした方がいいように感じます。ただ、時間を指定されている場では守っているかどうかも見られているので、合わせる必要はありません。
オンラインでは、開始前にカメラとマイクを確認します。話す内容を変える必要はありませんが、文末の「です」「ます」を言い切ると、画面越しでも聞き取りやすくなります。手元に置くのは原稿そのものではなく、所属・活動・担当・締めの4語だけで足ります。
前の人と内容がかぶったとき
集団面接でいちばん焦るのが、自分より前の人が同じ題材を話したときです。かぶっても言い換える必要はありません。題材が同じでも、担当していることと、そこで気づいたことは人によって違います。
「前の方と同じくゼミの話になりますが」と一言置いて、自分が担当している部分から話せば十分です。
その場で別の題材に差し替えるほうが危険です。準備していない話は深掘りで止まります。
オンラインで話し始めるタイミング
オンラインでは、面接官が「では〇〇さんからお願いします」と指名してから話し始めます。先に話し出すと音が重なり、いちばん大事な所属と氏名が聞き取れません。通信の遅れがあるので、指名されてから一拍おくくらいでちょうどよくなります。
オンラインでも集団でも、作る原稿は1つです。30秒版と1分版の2つを持っておけば足ります。
面接の自己紹介に関するよくある質問
面接の自己紹介はどのくらいの長さで話しますか
時間を指定されなければ30秒〜1分です。1分は文字数にすると約300字が目安で、原稿は270字ほどで作ると当日ゆっくり話しても収まります。書いたらスマホのストップウォッチで、実際に声に出して測ってください。
目立った実績がない場合は何を話しますか
授業、ゼミ、アルバイト、日々続けている学習など、いま取り組んでいることを具体的に話します。役職や受賞歴は必要ありません。3月より前の早期選考に参加した学生が半数を超えている(2026年卒で56.7%)ように、はじめての面接は実績が積み上がる前にやってきます。
自己紹介と自己PRは何が違いますか
自己紹介は所属といまの取り組みを伝えます。自己PRは、仕事で活かせる強みを具体的な経験と行動で説明します。自己紹介では経験の名前まで、自己PRでは経験の中身まで、と線を引くと混ざりません。
出身地や家族のことは話した方がよいですか
自分から話す必要はありません。本籍・出生地や家族に関することは、厚生労働省が採用選考で把握すべきでない事項として挙げている14項目に含まれます。雑談として聞かれたら答えて構いませんが、自己紹介に入れておく情報ではありません。
名前と大学名だけでもよいですか
名前と大学名だけで終えても問題はありません。ただ、いま取り組んでいることを一言足すと、そのあとの質問で触れてもらいやすくなります。
自己紹介に志望動機を入れますか
自己紹介だけを求められた場合は、志望動機全文までは入れません。「志望理由も含めて」と指定されたときだけ、1文を足します。
自己紹介に趣味を入れてもよいですか
時間に余裕があり、詳しく聞かれても話せる内容なら加えられます。いまの取り組みを削ってまで、無理に入れる必要はありません。
集団面接では自己紹介を短くしますか
時間を指定された場合はその時間に合わせます。指定がなければ30秒版を使い、経験の詳細は後の質問へ残します。他の学生が長く話していても合わせる必要はありません。
オンライン面接では内容を変えますか
話す内容を大きく変える必要はありません。開始前にカメラとマイクを確認し、画面上の原稿を読み上げる形にならないよう、要点だけを手元に置きます。
原稿は暗記した方がよいですか
一字一句の暗記はおすすめしません。1語飛んだときに全部止まります。所属・いまの取り組み・担当していること・締めという順番だけを覚えておけば、言葉が出てこなくても言い換えて進められます。
自己紹介は短く、深掘りは質問されてから
自己紹介では、大学・学部・学年と氏名、いま取り組んでいること1つ、締めのあいさつを伝えます。長さは指定がなければ30秒〜1分、1分なら約300字。原稿は270字ほどで作り、声に出して測ってください。
自己PRのように成果や仕事での活かし方まで話す必要はありません。自己紹介で出した経験が、そのあとの深掘り質問の土俵になります。だから選ぶのは、華やかな経験ではなく10分話せる経験です。
実績が揃っていなくても構いません。いま続けていることが1つあれば成立します。出身地や家族構成、尊敬する人物は、自己紹介に入れなくて問題ありません。
自己紹介で出す経験は1つに絞りますが、受ける企業が3社、5社と増えてくると、いまどの企業の何次選考まで進んでいて、次の面接がいつなのかが追えなくなります。面接の直前に原稿を見直す時間を取るには、選考の状況を1か所にまとめておくのが先です。

関連記事
自己紹介のあとに続く質問と、答え方の骨組みをまとめています。
自己紹介では触れるだけにした強みを、自己PRとして書くときの手順です。
自己紹介で出す題材がまだ薄いと感じるときの、作り方をまとめています。
就活の面接で使える長所・短所一覧|答え方の型と言い換え早見表
深掘りで長所・短所を聞かれたときの答え方と言い換えの早見表です。
出典
・リクルート就職みらい研究所『就職白書2026』(2026年2月20日公開)/学生調査:2026年卒の大学4年生・大学院2年生1,326人、2025年11月20日〜12月8日。企業調査:1,196社、2025年12月1日〜2026年1月7日。
・厚生労働省「公正な採用選考について(求職者の皆様へ)」公正採用選考特設サイト。
・厚生労働省 滋賀労働局「公正な採用選考をお願いします」(公正な採用選考の基本的な考え方)。
・就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議(内閣官房)「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」2025年12月26日。
この記事について
・28卒の在学生を想定しています。例文の学年表記はご自身の学年に置き換えてください。
・タイトルと本文の卒年表記(28卒)は、卒年が切り替わるタイミングで更新します。
・1分あたりの文字数は目安です。話す速さには個人差があるため、必ず声に出して測ってください。
・早期選考と内定率の数値は『就職白書』の更新(毎年2月)に合わせて見直します。
・政府の就職・採用活動日程は毎年12月ごろに翌々年度卒向けが示されます。卒年が切り替わるタイミングで最新版に差し替えます。



