「あなたの長所と短所を教えてください」。就活の一次面接でよく聞かれる質問です。
ところが、いざ答えようとすると手が止まります。長所を言えば自慢に聞こえないか気になりますし、短所を正直に言えば落とされそうな気もします。かといって、嘘をつくのも気が引けます。そもそも自分の長所が何なのか、はっきり言える人のほうが少ないのではないでしょうか。
先に結論をお伝えします。面接で嘘をつく必要はありません。本当の自分の短所をいくつか書き出したうえで、その中から仕事で致命的にならないものを選べば十分です。長所も同じで、特別に立派なものを用意する必要はありません。難しく考えず、まずは候補を見つけるところから始めていきましょう。
面接で使える長所・短所一覧【早見表】
まずは候補を探すところから始めます。左の長所に心当たりがあれば、右がそのまま短所の候補になります。
ここに自分の言葉がなければ、このあとの「長所20選」「短所20選」を見てください。仕事での活かし方と、短所ごとの改善行動まで載せています。
なお、長所と短所を必ずペアにする必要はありません。関連づけられると話が一貫しやすい、というだけです。実際の自分と合わないものを無理に結びつけなくて大丈夫です。
長所・短所の答え方
先に、面接官がこの質問で何を見ているかを押さえてから、答え方の型に入ります。
企業が長所・短所を聞く理由は、主に次の4つです。
①自分を客観的に見られているか
自分の得意・不得意を把握できている人は、社会に出てから「この仕事は強みが活きる」「ここは苦手だから早めに相談しよう」と判断できます。
見られているのは長所の中身そのものより、それを根拠つきで語れているかです。「周りからよくこう言われます」「この経験で痛感しました」と事実で裏づけられると説得力が出ます。
②入社後も同じように力を発揮できるか
長所の質問は、突き詰めると「その強みは、うちの会社でも再現できますか?」という問いです。
一度きりの成功ではなく、複数の場面で出ている性質なら、入社後も再現されると考えてもらえます。そのため「他の場面でもありますか?」と深掘りされます。新卒採用では入社後の活躍可能性も見られるので、学生時代の長所が仕事でどう活かせそうかまで話せると伝わりやすくなります。
③弱いところに手を打っているか
短所の質問で見られているのは、短所そのものではありません。弱点を自覚して、対処しようと動いているかです。
仕事では想定外のことが起きます。「自分はここが弱いから、こう工夫する」と自力で手を打てる人は、入社後も伸びると判断されます。逆に「性格なので仕方ないと思っています」で終わると、そこで止まる人に見えてしまいます。
短所を聞かれたら、短所の告白ではなく改善行動のプレゼンだと捉え直すと、答えやすくなります。
④社風・配属先と合っているか
どれだけ優れた長所でも、その会社で活きなければ意味がありません。チームで動く社風の会社に「一人で黙々と進めるのが得意」と答えれば、長所であっても評価されにくくなります。
長所・短所は、企業や配属先との相性を確認する材料のひとつにもなります。これは学生側にとっても同じです。相性を確かめ合う場だと考えておくとよいです。
自己PR・ガクチカとは見ている場所が違う
自己PRとガクチカが「何ができるか」を見る質問なのに対し、長所・短所は「どういう人か」を見る質問です。そのため、実際以上に良く見せようとするより、正確に伝えるほうが効果的です。
長所と短所では型が違うので、分けて覚えておきましょう。
① 結論「私の長所は◯◯です」
② エピソード「◯◯を発揮して△△に取り組み、□□という結果になりました」
③ 活かし方「この◯◯を活かして、御社では△△という形で貢献したいです」
① 結論を最初に伝えます。エピソードから話し始めて最後に「……というのが私の長所です」と締めると、面接官が途中で要点を見失ってしまいます。
② エピソードは具体的に伝えます。数字にできるものがあれば入れると、具体性が一気に上がります。「頑張りました」より「3ヶ月で」「20人のメンバーを」のほうが、聞く側は状況をつかみやすくなります。
ただし、数字を無理に作る必要はありません。数えられる経験ばかりではないからです。次のようなものでも十分に具体性は出ます。
第三者から言われたこと:「店長から『君に任せると安心だ』と言われるようになりました」
担っていた役割:「5人チームの進行役を1年間続けていました」
実際にやっていた行動:「毎週金曜に進捗をまとめて共有していました」
以前との変化:「以前は毎回出ていた確認漏れが、ほとんどなくなりました」
③ 入社後の活かし方まで伝えます。ここを飛ばしてしまう人が多いのですが、②は学生時代の話です。それが仕事でも再現されるという橋は、自分でかけてあげるのがコツです。
① 結論「私の短所は◯◯なところです」
② 自覚した経験「△△のとき、◯◯が原因で□□という失敗をしました」
③ 改善行動「そこで、××をするようにしました」
④ 現在「その結果、今は◇◇できるようになっています」
長所の型に「改善行動」と「現在」が加わって4ステップになります。
③の改善行動は「心がけ」ではなく「行動」で伝えます。ここでつまずいてしまう人が多いところです。
「心がけています」で終わると、たいてい「具体的には何を?」と聞き返されます。最初から行動のかたちで答えるのが正解です。
④ 成果が出ていなくても大丈夫です。見られているのは結果より、自覚 → 対策 → 実行のサイクルを回せるかどうかです。「まだ道半ばですが、今は◯◯を続けています」で伝わります。
回答時間に決まった正解はありません。指定がなければ、まずは1分前後で要点を話せるように準備しておくと安心です。面接官から深掘りされたら、その質問に合わせて具体的な内容を足していきましょう。
緊張すると早口になる人が多いので、原稿ができたら一度声に出して、実際にどれくらいかかるか確かめておくと安心です。
面接で使える長所20選
自分の長所を探すときは、いきなり考え込む必要はありません。先に言葉のリストを見て、当てはまるものを選ぶほうが早く進みます。
3列目は伝え方の例です。以下は言い方の例なので、数字や結果は、自分が実際に経験した内容への置き換えが前提です。
複数当てはまった人は、次の3つで絞ってください。
一度だけではなく、何度か発揮しているか:複数の場面で繰り返し出ている特徴ほど、自分の長所として説明しやすくなります
場面が変わっても出ているか:アルバイトでもゼミでも同じ長所が出ているなら、環境に依存しない強みです
集団の中で発揮された経験があるか:仕事は誰かと一緒に進めます。チームの中で発揮した経験があると、仕事での姿をイメージしてもらいやすくなります
そのうえで、話すのは1つに絞ります。「責任感と協調性と計画性です」と並べると、どれも印象に残りません。
面接で使える短所20選
短所は、何を選ぶかで面接官に与える印象が変わります。そのまま言うのではなく、2列目の表現に置き換えて、3列目の改善行動とセットで話します。
この20個は、前章の長所20個と1対1で対応させてあります。
ほかに、人見知り/マイペース/緊張しやすい/楽観的/お節介などもよく使われます。改善行動とセットにできれば問題ありません。
一方で、選んだ時点で不利になりやすい短所もあります。ここは正直さより、判断が問われる場面です。
①社会人としての信用に関わるもの
時間にルーズ/遅刻が多い/ルールを守れない/嘘をついてしまう/お金の管理ができない
これらは「性格の傾向」ではなく「一緒に働くとトラブルになりそう」というシグナルとして受け取られやすいです。改善行動を語っても、印象を戻すのは難しくなります。
②仕事の前提を壊すもの
協調性がない/責任感がない/報告・連絡・相談をしない
チームで働くことが前提の職場では、短所というより不適格の判断材料になりかねません。
③志望職種にとって致命的なもの
職種だけで一律に決まるものではありませんが、営業・接客など対人コミュニケーションの比重が大きい職種では、伝え方に注意してください。同じ短所でも、志望職種によって受け取られ方は変わります。
④仕事上の改善行動につなげにくいもの
身長や容姿など身体的な特徴は、仕事の中でどう手を打つかを話しにくいため、質問の意図から外れやすくなります。
⑤「短所はありません」
「特にありません」「強いて言えば短所がないことです」も避けてください。自己分析ができていない、質問の意図を理解していない、と受け取られやすい答え方です。20個の中から1つは準備しておきましょう。
長所と短所の関係|言い換え早見表
長所と短所は関連づけると話しやすくなります。ただし、無理にセットにする必要はありません。ここでは考え方と、対応表をまとめて置いておきます。
長所と短所は、必ずしも関連づけなくて構いません。とはいえ、性質の軸が共通していると、自分でも整理しやすくなります。
たとえば「計画性がある」は、裏返すと「急な変更に弱い」になります。「行動力がある」の裏は「考える前に動いてしまう」になります。ひとつの性質が、状況によって長所にも短所にも見えるという関係です。
関連づけて話すと、こういう利点があります。
人物像が伝わりやすい:長所と短所の関係が大きく離れていると、どういう人なのかが伝わりにくくなることがあります
整理しやすい:性質の軸が共通していると、話の筋を組み立てやすくなります
短所の印象がやわらぐ:長所の延長線上に置かれるためです
ただし、無理にセットにする必要はありません。実際の自分と合わない組み合わせを型に押し込むと、深掘りされたときに答えられなくなります。「長所も短所も本当のこと」が先で、関連づけはあくまで話しやすくするための工夫です。関連しない2つでも、それぞれにエピソードと改善行動があれば十分に通ります。
関連づけて答えるときの型
私の長所は◯◯です。(エピソード:◯◯を発揮して△△という結果を出した)
一方で、その◯◯が行きすぎて□□になってしまうところが短所です。(エピソード:□□が原因で失敗した経験)
そこで現在は××を実践しており、◇◇できるようになってきました。
あてはめると、以下のようになります。
私の長所は、計画を立てて着実に進められることです。ゼミの論文発表では締切から逆算して週ごとにタスクを分け、例年締切ギリギリになるチームの中で唯一、1週間前に完成させることができました。
一方で、計画にこだわりすぎて急な変更に弱いところが短所です。アルバイト先で当日に大口の予約が入った際、組み立てていた段取りが崩れて対応が遅れてしまったことがあります。
そこで今は、計画を立てる段階で「想定外が起きたときの代替案」を必ず1つ用意するようにしています。その結果、突発的な対応にも落ち着いて動けるようになりました。
長所・短所・改善行動が1本の線でつながっています。
自分で「裏を返せば長所」と締めるのは避ける
ここは間違えやすいので、はっきり書きます。
NG:私の短所は、心配しすぎるところです。でも裏を返せば、リスク管理ができるという長所でもあると思っています。
一見うまい返しに見えますが、「この人は短所だと思っていないな」「自己PRにすり替えたな」と聞こえます。短所を聞かれているのに長所の話で終わるのは、質問に答えていないのと同じです。
言い換えは選ぶための道具であって、面接で言うセリフではありません。
長所20・短所20を1対1で並べた表です。短所が決まったら左から、長所が決まったら右から引く使い方です。
同じ事実を別の枠組みで捉え直すこの作業は、心理学でリフレーミングと呼ばれます。社会人になってからも使えます。
自分の長所・短所がわからないときの見つけ方
一覧を見ても当てはまるものがない、という人は少なくありません。自分の性質は、自分からがいちばん見えにくいものです。見つけ方には順番があるので、上から順に試すのが早いです。
まず試してほしい方法です。自分では当たり前すぎて気づかないことが、他人から見れば際立った特徴だったりします。
聞き方にコツがあります。「私の長所って何かな?」と漠然と聞くと、当たり障りのない答えしか返ってきません。
「一緒に◯◯をやったとき、私はどんな役割をしてたと思う?」
「私に仕事を頼むとしたら、どんなことを頼みたい?」
「私と一緒にいて、やりづらいなと思うところはある?」
3つ目は聞きにくい質問ですが、短所を見つけるには有効です。複数人から同じことを言われたなら、短所の候補として有力だと考えてよいでしょう。
長所を探すとき、多くの人は成功体験を振り返ります。一方で、うまくいかなかった経験を振り返るのも有効です。困ったときに何をしたかを見ると、自分が自然に取る行動が見つかりやすくなります。
書き出すのは3つだけです。
何がどう大変だったか
どうやって乗り越えたか、そのとき何をしたか
結果どう変わったか
2番目に書いた行動が、長所の候補になります。「人に相談して打開した」なら周囲を巻き込む力、「原因を分析して手を打った」なら課題解決力、「とにかく続けた」なら継続力が候補になります。あわせて、乗り越えられなかったこともメモしておきます。そちらが短所の候補になります。
横軸に「小学校→中学→高校→大学」、縦軸に「モチベーションの高さ」を取り、これまでを1本の線で描きます。
線が下がっている部分:何が原因か。ここに短所のヒントがあります
下がった線が上向きに転じた部分:どう立て直したか。ここに長所が現れます
線が高い状態で続いている部分:どんな環境なら力を発揮できるか。企業選びの軸にもなります
自己分析は「思い出せるかどうか」で精度が決まります。頭で考えるだけにせず、紙に線を引いてみるほうが早いです。
①〜③をやっても言葉にできない場合は、診断で外からの視点を入れてみる手があります。学生転職の働き方ヒーロー診断は、会員登録なしで受けられて、タイプなどの結果を確認できます。より詳しい強みやおすすめ業界などの完全レポートを見るには、無料登録が必要です。自分で考えた長所と結果が一致すれば自信になりますし、ズレていたら、まだ言語化できていない一面かもしれません。
ただし診断結果をそのまま面接で言うのは避けてください。診断は言葉のきっかけであって、面接で必要なのは「その長所が発揮された自分自身のエピソード」です。
長所・短所の深掘り質問7選
長所・短所は、答えて終わりの質問ではありません。そこから追加で聞かれることが多いです。ここで詰まると、用意した回答も活きません。
回答ができたら、この7つを自分に投げかけてみましょう。答えに詰まる質問があれば、そこが弱点です。
よくある質問
\長所・短所が言葉にならない人へ/
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長所・短所の質問で見られているのは、優れた性格かどうかではありません。特に押さえておきたいのは、自分の特徴を客観的に説明できることと、短所に対して改善行動を取っていることです。
そのため、答え方より先に、選び方で差がつきます。たとえば「計画性がある」と「急な変更に弱い」が実際どちらも自分に当てはまるなら、その2つを関連づけて話すこともできます。そのあとは、実際にその短所で困った場面を1つ思い出せば十分です。バイト先で急に予約が入って頭が真っ白になったときのことでも、ゼミの調査方法が途中で変わって手が止まったときのことでも構いません。そこに「今はこうしています」を足せば、回答はもう出来上がっています。
逆に「時間にルーズ」や「協調性がない」を選ぶと、あとから挽回するのが難しくなります。
短所を話すのは、やっぱり気が重いと思います。とはいえ面接官は、完璧な人を探しに来ているわけではないはずです。むしろ「短所はありません」と言われたほうが、返す言葉に困るはずです。自分の弱いところを言葉にできていて、改善するために行動している。その姿勢が伝われば十分です。
まずは早見表を上から眺めて、「これは自分だな」と思った言葉に印をつけてみてください。長所と短所を1つずつ選べたら、あとはこの記事の型に自分の話を流し込むだけです。
それでも自分の言葉が出てこないときは、診断から入るのが早道です。
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