就活を始めると、急に「OB訪問」という言葉が飛び交いはじめます。そもそもOBとOGは何が違うのか、自分はどちらに会えばいいのか、説明できないまま流されている人は少なくありません。
結論から言うと、違いは性別だけです。ただし「違いを知ること」と「実際に訪問できること」の間には距離があります。マイナビの2027年卒調査では、OB・OG訪問をしなかった理由として「申し込み方法や手順が分からないから」が20.3%を占めました(マイナビキャリアリサーチLab・2027年卒 大学生キャリア意向調査5月)。言葉の意味でつまずいている人より、その先でつまずいている人のほうが多いということです。
この記事では、OBとOGの違いを整理したうえで、探し方・依頼メール・当日の質問・お礼まで、実際に1人目に会うまでの流れをすべて解説します。
OBとOGの違いは「性別」だけ
OBは男性、OGは女性の卒業生を指します。違いはそれだけです。ただし「どちらに会うか」は、聞きたいことによって変わります。
結論:OB=男性の卒業生、OG=女性の卒業生
OBはOld Boy、OGはOld Girlの頭文字です。指しているのはどちらも卒業生で、分けているのは性別だけです。学校に限らず、部活やサークル、前の職場の先輩にも使います。
「OB・OG」は和製英語なのか
ここは説明が割れているところです。「old boy」「old girl」という表現自体は英語に存在します。英和辞典でも old boy は「(男子校の)卒業生・校友」と記載されています(Weblio英和辞典)。イギリス英語では実際に卒業生を指す言葉として使われます。
一方で、「OB」「OG」と略して使う形は日本独自です。アメリカ英語では卒業生を alumnus(男性単数)、alumna(女性単数)、alumni(複数)と呼び、Old Boy / Old Girl という言い方はしません。
つまり「完全な和製英語」でも「そのまま通じる英語」でもなく、元になった英語表現を日本流に略して使っている言葉というのが正確な説明です。海外の同窓会で「OB」と言っても伝わらないため、英語で伝えるときは alumni を使います。
女性の先輩を「OB」と呼んでいいのか
実務でいちばん迷うのがここです。判断基準は3つあります。
文章では「OB・OG」と併記するのが最も安全です。メールの件名や大学への問い合わせでは、この形が定型になっています
相手が女性だと分かっているなら「OG訪問」と書く。まとめて「OB」と呼ぶ用法もありますが、気にする人がいる以上、分けて書くほうが配慮が伝わります
性別が分からない段階では「OB・OG訪問のお願い」とする。名前だけでは判断できないケースがあるため、無理に決めつけないでください
OBとOGのどちらを訪問すべきか
違いは性別だけですが、聞きたい内容によっては相手の性別が意味を持ちます。ここを整理しておくと、限られた訪問回数を無駄にせずに済みます。
制度の有無は採用サイトに載っていますが、実際に取得できているか、復職後にどう働いているかは、経験した本人にしか聞けません。ライフイベントと仕事の両立を判断材料にしたい人は、意識してOGを探す価値があります。
逆に、それ以外の質問で性別を気にする必要はありません。会いたい職種や部署の人がいるかどうかを優先するとよいです。
OB・OG訪問とは?実施しているのは4人に1人
全員がやる活動ではありません。「やらないと不利」と煽る記事もありますが、実施率は約25%です。
志望する企業や業界で働く先輩に個別に会い、話を聞きます。定義としてはそれだけの活動です。とはいえ学生転職としては、これは「情報を集める場」というより「自分と合うかを確かめる場」だと考えています。採用サイトを読めば分かることを聞きに行くのは、もったいない使い方です。
実施率と訪問人数
マイナビの2027年卒調査では、OB・OG訪問の経験がある学生は4人に1人でした。訪問人数は対面が平均2.2人、WEBが平均2.8人と、WEBのほうが多い結果です(マイナビキャリアリサーチLab・2027年卒 大学生キャリア意向調査5月)。

OB・OG訪問の実施率と訪問人数(2027年卒)
ここは押さえておいてください。上位に出てくる解説記事の多くは対面訪問を前提に書かれていますが、実態はすでにオンラインのほうが多いのが現状です。「カフェで会う」形式だけを想定して身構える必要はありません。
前年の2026年卒調査では、実施率26.8%、平均訪問人数は全体で5.0人でした(マイナビキャリアリサーチLab・2026年卒 大学生キャリア意向調査5月)。
文理男女別に見ると、少し意外な傾向が出ています。
出典:マイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査5月」
やっているのは理系男子が最も多く、人数を重ねているのは文系男子です。OB・OG訪問は文系のもの、という印象があるかもしれませんが、実施率で見ると逆になっています。研究室やゼミの先輩をたどりやすいことが背景にあると考えられます。
自分の属性が下の行にあっても、不利という話ではありません。訪問した人が少ない層ほど、動いたときの差は大きくなります。
いつ、どのタイミングでやるのか
実施時期は2025年10月〜2026年3月に集中しており、大学3年生の秋から4年生の春が中心です(マイナビ・2027年卒調査)。夏のインターンで業界理解を進めたあと、秋以降に実際に働く社員へ会いに行く流れができています。
選考との関係でいうと、2026年卒調査では1次面接を受ける前が55.3%と最多で、1次面接〜内々定前が31.5%と続きました(マイナビ・2026年卒調査)。志望動機を固める段階で使われていることがわかります。
所要時間・場所・費用・服装
オンライン訪問で気をつけること
訪問人数ではWEBが対面を上回っている以上、こちらが標準だと考えて準備しておきましょう。対面と違う点が4つあります。
1場所を先に押さえる
候補は大学の空き教室や図書館の個室ブース、自宅です。カフェは音が入るうえ、他の客の会話が相手にも聞こえます。開始15分前には座っておくと安心です。
2カメラはオンにして、名前を本名に直しておく
大学の授業用アカウントのままだと、表示名が学籍番号になっていることがあります。「〇〇大学 □□」の形にしておくと、相手が呼びかけやすくなります。
3話し終わりに一拍おく
オンラインは声が重なると聞き取れません。相手が話し終わったのを確認してから話し始めると、会話が途切れにくくなります。
4メモを取っていることを最初に伝える
画面の外で手を動かしていると、話を聞いていないように見えます。「メモを取らせていただきます」と一言あるだけで印象が変わります。
服装は指定がなければ、上半身はスーツかジャケットにしておくと無難です。ただし背景と音のほうが服装より重要です。
対面の場合は、指定された場所に10分前には着いておきます。カフェで会うときは、相手より先に着いて席を確保しておくと安心です。
訪問して得られるもの|「行かない」と決める材料にもなる
訪問後に75%が「次のステップに進みたい」と回答した一方、1割は逆の判断をしています。この1割にこそ価値があります。
採用サイトに出てこない話が聞ける
採用サイトも説明会も、企業が見せたい面から作られています。配属がどう決まるのか、繁忙期はどのくらい忙しいのか、1年目に何を任されるのか——この手の話は、社員に直接聞くしか手がありません。
志望動機の根拠になる
2026年卒調査では、訪問の結果として「やりたいと思っていた仕事のイメージがはっきりした」が59.5%で最多でした(マイナビ・2026年卒調査)。
「〇〇さんから△△という話を伺い」と実体験を根拠にできると、志望動機の説得力が変わります。調べれば書ける内容ではないため、他の学生と差がつく部分です。
「合わない」と気づけることのほうが大きい
なお、面接前に社会人と1対1で話す練習になる、という副次的な効果もあります。ただしこれを目的にするほどの価値はありません。
ここが上位の解説記事があまり書かない部分です。マイナビの2027年卒調査では、訪問後に次のステップに進みたいと感じた学生が75.0%だった一方、進みたくないと感じた学生も1割程度いました。その理由は「企業になじめないと思った」34.7%、「仕事内容が自分に合わないと思った」27.0%です(マイナビ・2027年卒調査)。
選考が進んでから気づくより、この段階で分かるほうが動きやすくなります。志望度を上げるための活動としてだけ見ていると、この価値を取り逃がします。
OB・OGの探し方5ルート|最も多いのは「人事担当者からの紹介」
連絡方法の最多は人事担当者からの紹介で26.0%。キャリアセンターやアプリを探す前に、企業に直接聞く手があります。
マイナビの2027年卒調査では、OB・OGへの連絡方法として「人事担当者からの紹介」が26.0%で最多でした(マイナビ・2027年卒調査)。多くの解説記事はキャリアセンターとアプリを中心に紹介しますが、実際にいちばん使われているのは企業経由のルートです。

OB・OGへの連絡方法(2027年卒)
人事担当者に紹介を依頼する
説明会の質疑応答やマイページの問い合わせフォームで、「実際に働かれている社員の方にお話を伺える機会はありますか」と尋ねてください。企業側が窓口を用意しているケースは珍しくありません。断られても失礼にはあたらないので、志望度の高い企業には聞いてみる価値があります。
希望する企業に先輩がいないとき
マイナビの2027年卒調査では、OB・OG訪問をしなかった理由として「希望する企業に学校の先輩がいないから」が14.9%を占めました(マイナビ・2027年卒調査)。学部が新しい、地方の大学、志望業界に卒業生が少ないといった事情は珍しくありません。
この場合は、次の順で当たっていきます。
人事担当者に直接依頼する(大学のつながりが不要な唯一のルート)
OB・OG訪問アプリを使う(大学を問わず社会人を検索できるので、つながりがなくても届く)
同じ業界の別企業のOB・OGに会う(企業単位で無理でも、業界の話は聞ける)
「先輩がいないから諦める」のは早すぎます。実際、連絡方法の最多が人事紹介である以上、大学のつながりは前提条件ではありません。
ただし、この3ルートを同時に動かすと、人事に依頼した企業・アプリで申請中の相手・返事待ちの相手が入り混じり、どの企業に何を送ったかがすぐ分からなくなります。訪問は「送った数」ではなく「追えている数」で進んでいきます。
\「誰に送ったか」まで、1か所で追える/
「学生転職」は、企業ごとの選考状況や締切をまとめて管理できる就活サービスです。
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依頼メールの書き方と例文
返信をもらえるかどうかは、5つの要素が入っているかでほぼ決まります。
返信率を決めるのは1文だけ
返ってくるかどうかは、「なぜあなたに連絡したのか」が書いてあるかでほぼ決まります。ここが抜けた依頼は、一斉送信に見えます。キャリアセンターの名簿で見つけたのか、説明会で話を聞いたのか——一言でいいので理由を添えます。
そのうえで、次の4つを入れます。
大学名・学部・学年・氏名
何を聞きたいのか(「お話を伺いたい」ではなく、具体的に)
候補日を2〜3つ。時間帯に幅を持たせる
所要時間の目安(30分〜1時間)
例文:人事担当者に紹介を依頼する
連絡方法の最多が人事紹介である以上、まずこの形を持っておくと動きやすくなります。社員個人あてではなく、採用窓口に出す文面です。
件名:社員の方へのお話伺いのお願い(〇〇大学 △△学部 □□)
〇〇株式会社 採用ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。〇〇大学△△学部3年の□□と申します。
先日の会社説明会に参加し、△△事業についてもう少し詳しく伺いたいと考えております。可能でしたら、実際に△△に携わっている社員の方にお話を伺う機会をいただけないでしょうか。
特に伺いたいのは、1年目にどのような業務から関わるのか、配属がどのように決まるのかの2点です。
オンライン・対面どちらでも構いません。30分〜1時間ほどお時間をいただければ幸いです。
・〇月〇日(月)10:00〜18:00 ・〇月〇日(水)13:00〜18:00 ・〇月〇日(金)終日
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
―――――――――― 〇〇大学 △△学部 3年 □□ □□ Mail:xxx@xxx.ac.jp Tel:090-XXXX-XXXX
大学の名簿やアプリから社員個人に送る場合も、宛名と経緯を差し替えれば同じ形で使えます。署名は必ず入れてください。学生のメールでいちばん多い抜けがここです。
返信が来ないとき、断られたとき
送ったのに返事がないというのは、珍しいことではありません。相手は1日に何十通ものメールを処理していて、その合間に対応しています。埋もれることも、忙しい時期に当たることもあります。
ここで一つ整理しておきます。学生側の返信は受け取ってから24時間以内が基本ですが、社会人からの返事を同じ速度で期待しないでください。こちらは就活が本業ですが、相手にとっては本業の合間の対応です。同じ物差しで測ると、返事が来ないだけで断られたと思い込むことになります。
5営業日ほど待って返事がなければ、一度だけ再送します。土日を挟むので、月曜に送ったなら翌週の月曜あたりが目安です。催促ではなく、届いていない可能性を前提にした文面にします。
件名:Re: 社員の方へのお話伺いのお願い(〇〇大学 □□)
先日ご連絡いたしました〇〇大学の□□です。 お忙しいところ恐れ入ります。メールが行き違いになっている可能性もあり、念のため再送いたしました。 ご都合が合わないようでしたら、その旨お知らせいただければ幸いです。
再送しても返事がなければ、そこで引きます。3通目は送らないでください。返事がないこと自体が、いまは対応が難しいという返事です。
断られた場合も、短くお礼を返しておきます。時期をずらせば受けてもらえることもありますし、別の社員を紹介してもらえる場合もあります。
そもそも1人目で成功しないのが普通です。5人に送って2人から返事が来れば十分だと考えて、最初からまとめて動くのが現実的です。1人ずつ返事を待っていると、それだけで1か月が過ぎます。
当日の質問リスト|若手社員に何を聞くか
会えるのは入社2、3年目の若手です。その人にしか答えられないことを聞きます。
2026年卒調査では、会いたい社員として入社2、3年目の若手社員が最も多く挙がりました(マイナビ・2026年卒調査)。ここを踏まえずに質問を用意すると、そもそも答えられない相手に聞くことになります。
2、3年目の社員に、経営戦略や10年後の事業計画を聞いても答えは返ってきません。その人がまだ持っていない情報だからです。逆に、その人にしか答えられないことがあります。就活のときに何を比較したか、内定を承諾した決め手は何だったか、入社してからどこが想像と違ったか。1、2年前に自分と同じ場所にいた人にしか語れない話です。
質問は多く用意するより、答えを深掘りできるものを絞るほうが機能します。30分の中で聞けるのは、実質5問程度です。
その人にしか聞けないこと(優先)
就活のときに他にどんな企業を見ていましたか
最終的にこの会社を選んだ決め手は何でしたか
入社前のイメージと違った点はありますか
1年目はどんな仕事から任されましたか
時間が余ったら聞くこと
繁忙期はいつで、そのときの働き方はどうなりますか
配属はどのように決まりましたか
上司や先輩にはどのように相談していますか
調べればわかることは聞かないのが鉄則です。事業内容や企業理念は事前に読み、「採用サイトには〇〇と書かれていましたが、現場での実感はいかがですか」という形に変えると、その人にしか話せない答えが返ってきます。
お礼メールの例文とマナー
当日中に送る。定型文で終わらせず、印象に残った話を必ず1つ入れる。この2点だけです。
その日のうちに送るのが基本です。遅くとも翌営業日の午前中には出してください。
例文
件名:本日のOB・OG訪問のお礼(〇〇大学 □□)
〇〇様
本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。
〇〇様から伺った「配属先は希望だけでなく、研修中の取り組み方も見て決まる」というお話が特に印象に残りました。選考の準備だけでなく、入社後をどう過ごすかまで考えるきっかけになりました。
本日伺った内容を踏まえ、改めて志望動機を整理してまいります。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
肝は、相手が話した内容を1つ引用することです。ここがないと、誰に送っても成立する文面になります。30分〜1時間もらっておいて定型文だけ、というのは相手の時間に見合いません。
避けたいこと
訪問の翌々日以降に送る
相手の名前や部署を間違える
そのまま選考の口利きを頼む
返信が来たあとに何も返さない(一往復で締めるのが自然です)
聞いた内容を記録する|訪問した情報は必ず散らかる
平均訪問人数は5人前後。誰に何を聞いたかは、記録しないと必ず混ざります。
OB・OG訪問は、やって終わりにすると価値が半減します。前述のとおり平均訪問人数は5.0人です(マイナビ・2026年卒調査)。複数企業を並行して見ている時期なので、「あの話はどこの会社で聞いたんだっけ」が確実に起きます。
記録しておきたいのは次の5つです。
会った日付・相手の名前・所属部署・年次
聞いた質問と回答の要点
その場で感じたこと(雰囲気・違和感を含む)
お礼メールを送ったかどうか
ESや面接で使えそうな一言
特に「その場で感じたこと」は時間が経つと消えます。訪問直後の移動時間に書き留めておきます。
OBとOGの違いに関するよくある質問
OB・OG訪問は、1人目に会うまでが最も重いハードルです。手順が分からず動けない学生が2割いる一方で、動いた学生の75%は志望度を上げています。
「学生転職」は、就活の情報を1か所にまとめられる就活サービスです。
選考管理が全機能無料:企業ごとの選考状況・締切・ESを一元管理できます
訪問メモも企業単位で残せる:誰に何を聞いたかを、企業情報と紐づけて保存できます
適職診断が無料:自分に合う業界と職種を、質問に答えるだけで確認できます
訪問して得た情報は、記録して初めて武器になります。
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【出典】OB・OG訪問の実施率・訪問人数・実施時期・連絡方法・訪問後の意向:マイナビ「2027年卒 大学生キャリア意向調査5月<学生のOB・OG訪問経験>」/実施率・平均訪問人数・会いたい社員の年次・訪問時期:マイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査5月<OB・OG訪問について>」/old boy の語義:Weblio英和辞典



