準備ができても「動き方」を間違えると遠回りする
前回の記事では、2ヶ月で戦える状態になる具体的な学習ロードマップをお伝えしました。
IT基礎を学んで、小さなアプリを作って、GitHubに公開して、志望動機も整えた。「よし、準備万端!」
でも、ちょっと待ってください。準備ができても、動き方を間違えると大きく遠回りしてしまいます。
この記事では、未経験エンジニア就活で「やりがちな失敗パターン」と「内定者に共通する成功パターン」を解説します。
せっかくの努力を無駄にしないために、今のうちに知っておきましょう。
文系・初心者がやりがちなNG行動5選

未経験でエンジニアを目指している学生と話していると、「それをやってしまうと、せっかくの努力がもったいない…」というパターンがいくつかあります。
どれも悪気があるわけではなく、「真面目だからこそ」「不安だからこそ」やってしまいがちな行動です。
NG1:とりあえず高額スクールに申し込んで安心してしまう
不安が大きいほど、「お金さえ払えばなんとかなる気がする」スクールが魅力的に見えます。
もちろん、スクールが悪いわけではありませんし、環境があることで継続しやすくなる人もいます。
ただ、「スクールに申し込むこと」が目的になってしまうと危険です。高額な受講料を支払っただけで満足し、実際には手を動かす時間が増えていない、という状態になりかねません。
本来大事なこと
毎週どれくらい学習時間を確保するか
カリキュラムにどれだけ主体的に取り組むか
自分で調べたり試したりする癖をつけられるか
もしスクールを検討しているなら、「無料体験や説明会に参加してみる」「独学を2〜3週間続けてから考える」など、一度クッションを置いて判断するのがおすすめです。
NG2:ポートフォリオが完璧にできるまで就活を始めない
「作品が微妙なうちは企業に見せたくない」という気持ちは自然です。
ただ、ポートフォリオが100点になるまで就活を始めない、というのは現実的ではありません。
技術の世界において、完成というゴールはほぼありません。作れば作るほど「あれも直したい、ここも改善できる」と思うようになります。すると、いつまで経っても応募できない、という状態に陥りがちです。
おすすめの基準
「1つ目の作品が動くようになったら、志望度中くらいの企業から出してみる」
「GitHubにコードを上げてREADMEを書いたら、エージェントに壁打ち相談をする」
不完全でも一度外に出してしまうと、フィードバックが返ってきます。そのフィードバックを元に作品を改善していくほうが、独りで悩んでいるよりも成長スピードが圧倒的に速くなります。
NG3:なんとなく「楽そう」「リモートできそう」でエンジニアを選ぶ
就活サイトやSNS上では、「エンジニアなら在宅で働ける」「服装自由で気楽」といったイメージが語られることもあります。
そうした面がゼロではない一方で、それだけを理由に選ぶのはかなり危険です。
実際の現場では、
期限が決まった中で機能を作り切るプレッシャー
自分の書いたコードが原因でトラブルが起こる可能性
エラーやバグの原因を追いかけ続ける根気
といった、地道で粘り強い仕事が日常的に発生します。
表面的なメリットだけで選んでしまうと、ギャップで「思っていたのと違う」と早期離職につながってしまいかねません。
だからこそ考えたいこと
「何をしている時間が一番楽しいか」
「どんな大変さなら頑張れると思えるか」
「作る」「仕組みを理解する」「動くものを通じて誰かの課題を解決する」ことに少しでもワクワクできるなら、エンジニアは十分に選択肢になり得ます。
NG4:一人で抱え込み過ぎて、質問できないまま詰む
真面目な人ほど、「自分でなんとかしなきゃ」と思い込んでしまいがちです。
ドキュメントを読むのも大切ですが、何日も同じエラーで止まっているのに、誰にも相談できない状態は要注意です。
現場のエンジニアが重視しているのは、「全て自力で解決できる人」ではなく、「一定時間試した上で、適切に質問できる人」です。
例えば、
まず自分で30分〜1時間ググって試す
それでも分からなければ、「自分がどこまで試したか」を添えて質問する
といったスタイルが身についていると、「この人はチームでもやっていけそうだ」と思ってもらえます。
学習段階でも同じです。友人やメンター、就活サービスの担当者など、頼れる人がいるなら、適度に相談しながら進めた方が遠回りせずに済みます。
NG5:企業研究をほとんどせずに「なんとなくIT系」を受け続ける
「エンジニアになりたい」という気持ちが先行するあまり、企業ごとの違いをほとんど見ないまま、求人票の「言語」や「給与」だけで選んでしまうケースもよくあります。
しかし同じエンジニア職でも、
自社サービスの開発なのか
受託開発なのか
客先常駐がメインのSESなのか
社内向けシステムを担当する社内SEなのか
によって、日々の業務内容も、成長の仕方も、求められるスキルセットも大きく変わります。
大事なのは、
「なぜその会社なのか」
「なぜそのビジネスモデルの企業なのか」
「そこでどんな経験を積みたいのか」
を、自分なりの言葉で説明できるかどうかです。ここが曖昧なままだと、志望度の高い企業ほど、他の学生と差がつきやすくなります。
失敗しない企業の選び方と見極めポイント

「準備のイメージは湧いてきたけれど、そもそもどんな会社を探せばいいのか分からない」
そんな状態の人も多いと思います。エンジニアと一言でいっても、会社や事業モデルによって仕事の中身は大きく変わります。
4つのタイプを理解する
まずは大枠の分類から整理しておきましょう。未経験の段階では、次の4つをざっくり区別できれば十分です。
1. 自社開発企業 自分たちのサービスやプロダクトを作って育てていく会社。SaaS、Webサービス、アプリなどが典型例。
特徴
ユーザーの反応を見ながら機能を改善していく
開発とビジネスが割と近い距離にある
新卒の育成に力を入れている会社も多い
2. 受託開発企業 / SIer 顧客企業から依頼を受けてシステムを作る会社。
特徴
大きめのプロジェクトにチームで関わる
設計やドキュメントなど、いわゆる「お作法」を学びやすい
案件によっては古い技術が長く使われていることも
3. SES企業 客先常駐のエンジニアとして、さまざまなプロジェクトに参加する働き方。
特徴
職場や案件を変えながら経験を積める
「教育より戦力」前提の現場もある
案件内容の見極めがとても重要
4. 社内SE 自社の社内システム、インフラ、ヘルプデスク、業務改善ツールなどを担当。
特徴
ビジネス側と近い距離で仕事ができる
勤務環境が比較的落ち着いている
技術スタックが限定的になることも
どれが正解という話ではなく、「自分がどんな成長をしたいか」「どんな働き方をしたいか」によって向き不向きが変わります。
求人票でチェックしたいポイント
実際に求人票を眺めるとき、「文系歓迎」「未経験OK」と書いてあると一見安心しますが、そこだけで判断するのは危険です。
次の4つを必ずチェック
1. 募集要項の「歓迎要件」と「必須要件」
未経験向けの求人でも、歓迎要件に「個人でのプログラミング経験」「何らかのフレームワーク経験」などが書かれていることがあります。必須スキルにガチガチの経験が並んでいる場合は、いわゆる「実質未経験不可」の可能性もあるので注意。
2. 教育・研修体制
「研修あり」だけで詳細不明なケースよりも、「入社後3か月は座学と演習、その後チーム配属」など、イメージできるレベルで書かれているほうが安心材料になります。
3. 配属後の業務内容
「システム開発に関する業務全般」など、抽象的な表現だけだと、具体的に何をするのかが分かりません。
主にどんなシステムを、どんなお客様向けに作っているのか
テスト中心なのか、実装まで含まれるのか
などを、説明会や面談で必ず確認しておきましょう。
4. 社員の発信(技術ブログ)
技術ブログ、採用ブログ、社員インタビューなどが充実している会社は、その分「情報をオープンにしよう」という文化を持っていることが多いです。若手エンジニアの記事が多い会社は、新卒や未経験をしっかり育てているサインにもなります。
ちょっと注意したいサイン

全てがそうとは限りませんが、未経験でのスタートを考えるときに「少し注意深く見たほうがいい」サインも存在します。
注意したいサイン
「やる気があればOK」「成長したい方歓迎」など、精神論だけが目立つ
具体的な技術スタックや、関わるプロジェクトの種類がほとんど書かれていない
常駐先について「大手企業の案件多数」とだけ書かれていて、中身が見えない
面談で質問しても、詳細を濁されたり、回答が抽象的なまま終わる
といった場合は、もう一歩踏み込んで「エンジニアとしてどんな経験が積めるのか」を確認したほうがいいかもしれません。
就活サイトだけに頼らないことの大事さ
ナビサイトや求人サイトだけで探していると、「結局どの会社も同じに見えてきた」という状態になりがちです。
そこで大事になるのが、第三者の目線を入れることです。
エンジニア志望の学生を多く見ているエージェント
技術に詳しい先輩やOB/OG
学生向けキャリアコミュニティ
例えば就活サービスを使えば、あなたと企業の間に立って、「この企業は未経験をどう育てているか」「過去にどんな学生がそこに進んだか」といった、生の情報を教えてもらえることがあります。
一人で求人票を眺め続けるより、「候補を一緒に絞ってもらう」というスタンスで動いたほうが、結果的に時間の節約にもなります。
未経験エンジニア内定者に共通する5つの行動パターン
ここまで「失敗パターン」を見てきました。では逆に、実際に未経験から内定を取っている人たちは日々どのように動いているのでしょうか。
特別な才能がある人ばかりではありません。むしろ、話を聞いていくと「やっていることはシンプルだけど、ちゃんと続けている」という人がほとんどです。
①毎日少しでも「コードに触る」時間を確保している
まず何より目立つのが「毎日少しでもコードに触っている」という習慣です。
1日3時間学習する日もあれば、就活や授業で忙しくて30分しか取れない日もあります。それでも完全にゼロの日を極力作らないようにしている人が多いです。
勉強の中身は派手なものではありません。
チュートリアルの続きを進める
昨日書いたコードを読み返してリファクタリングする
エラーを1つだけでも潰す
学んだことをメモにまとめる
こうした小さな積み重ねが、数か月後には大きな差になります。「やる気のある日だけやる」ではなく、「やる気が無くても最低ラインだけはやる」というスタンスが、未経験スタート組の分かれ目です。
②インプットとアウトプットのバランスが良い
内定している人は、学び方のバランス感覚が良いです。教材をひたすら眺めているだけではなく、「手を動かす時間」を意識的に増やしています。
例えば、Progateや本で文法を学んだら、その日のうちに簡単なコードを書いてみる。
「if文を使えるようになったから、簡単な診断ゲームを作ってみよう」「配列を学んだので、買い物リストを扱う処理を書いてみよう」といった具合です。
学んだことをすぐ小さなアウトプットにつなげることで、
理解できていない部分が浮き彫りになる
自分で調べる癖が身につく
「動いた」という成功体験が増える
逆に「動画をずっと見て満足してしまう」パターンにハマると、知識は溜まっている気がするのに、いざ書こうとすると手が動かないという状態になりがちです。
③受け身ではなく、機会を取りに行く
内定者の話を聞くと、「声をかけた回数」が多いのも共通しています。
例えば、
学校のキャリアセンターに相談に行ってみる
エンジニアの先輩にOB訪問をお願いしてみる
カジュアル面談や技術イベントに参加してみる
エージェントやサービスに登録して、自分の状況を共有してみる
もちろん最初は緊張しますが、1回動いてみると「意外とちゃんと話を聞いてもらえる」と分かります。
そこから次の機会が生まれたり、「そのレベルならまずここを勉強するといいよ」といった具体的なアドバイスがもらえることも多いです。
情報を待つのではなく、自分から取りに行く姿勢があるかどうかは、そのまま選考でも評価されるポイントです。
④フィードバックを素直に受け止めて、すぐ修正する
もう一つ大きいのが「フィードバックの扱い方」です。
書類選考で落ちた、技術テストで点数が伸びなかった、面接で深掘りされた質問にうまく答えられなかった。こうした経験は誰にでもありますが、内定している人たちはここで止まりません。
内定者がやっていること
なぜ落ちたのか、自分なりに仮説を立ててみる
可能であれば、人事やエージェントから理由を聞く
ガクチカや自己PRのどこをどう直すかを具体的に決める
次の応募までに、1箇所でも改善してから出す
この小さなPDCAの回転数が多いほど、就活が進むにつれて話す内容もブラッシュアップされ、企業とのマッチング精度も上がっていきます。
「ダメだった」という事実だけを見て落ち込むのではなく、「何を変えれば次は良くなるか」に意識を向けられるかどうかが、内定者の共通点です。
⑤自分一人で抱え込みすぎない
最後の共通点は、「一人で全部解決しようとしすぎないこと」です。
もちろん自分で調べて考える習慣は重要ですが、プログラミングも就活も、一人では気づけないブラインドスポットが必ずあります。
他人の視点が入って初めて見えること
この企業の雰囲気は求人票からは分かりにくい
この自己PRは、エンジニア職から見ると少し伝わりにくい
このポートフォリオは、ここを直すと一気に見栄えが良くなる
友人でも先輩でも、キャリアアドバイザーでもかまいません。「自分の現状と悩みを言語化して、誰かに一度聞いてもらう」習慣を持てている人ほど、遠回りせずに前へ進んでいきます。
まとめ:未経験でも「動き方」で結果は大きく変わる

3つの記事を通して、未経験からエンジニアを目指す就活の全体像をお伝えしてきました。
改めて大事なポイント
企業が見るのは「今のスキル」より「学び続ける力」と「チームで働く素養」
2〜3ヶ月あれば、IT基礎+小さなアプリ+GitHub+志望動機は作れる
高額スクールや完璧主義、表面的な理由での選択は避ける
自社開発/SES/SIer/社内SEの違いを理解して企業を選ぶ
内定者は「毎日触る」「バランス良く学ぶ」「機会を取りに行く」「フィードバックを活かす」「一人で抱え込まない」
これらは全て、天才だからできることではありません。今日から誰でも少しずつ始められることばかりです。
今日できることを一つ決めよう
環境構築だけやってみる
学習ログ用にNotionのページを作る
気になる求人を3社調べてみる
誰か一人に「エンジニア就活を考えている」と相談してみる
どれでも構いません。どんなに小さくても「動いた」という事実が、自信の種になります。
焦る必要はありませんが、先延ばしにし続ける理由もありません。
「今日、何をするか」を一つ決めて、この瞬間からエンジニア就活の一歩目を踏み出してみてください。



